Hidizsは5000円クラスの低価格からミドプライスのイヤホンを中心に販売しているメーカーです。イヤホンだけでなく、DACやアンプの販売も行っており、中国系のオーディオブランドの中では中々に高い技術力を持っていると言っても良いでしょう。
歴史としては2009年創業なので新興のブランドで、今後に期待ができると思います。ブランド自体にも興味がある人は以下のリンクよりどうぞ。
本記事で紹介するHidizs MD4は、Hidizs製のイヤホンの中でもミドルプライスに位置する有線イヤホンです。自社で開発したとされる片側につき4つのバランスド・アーマチュアを搭載し、お値段以上の音質を提供してくれます。
製品特徴
小型ながら2.5mm対応など作りがしっかりしている
このDAPはかなり小型なコンパクトDAPであり、サイズ感は手のひらに収まるサイズ感です。単3乾電池とくらべてみてもこのサイズです。
厚みもそんなに分厚くないし、とにかく小型なのでポータブルオーディオに最適な仕様と言えるでしょう。
価格も約26000円と、DAPの中では低価格な値段設定になっております。
通常、このサイズのDAPだと、どうしても内部基盤の構成の関係で、3.5mmシングルエンド接続のみのものが多いのですが、本機は、しっかりと2.5mmバランス接続にも対応しているのは中々評価が高いです。
また、こういう小型機ではボタン式に省略されがちである、ボリュームノブもしっかり搭載されており、細やかな音量調整が可能になっています。ただこのボリュームノブは、少々引っ込んだ作りになっている関係で、回す際に癖があるのが気になりました。
見た目もアルミ合金製かつかなり良い質感をしており、安っぽさはは全く感じさせない外見です。高級感すら感じさせるでしょう。
ツヤのある表面なので、指紋や傷が付きやすいのは難点ですが、最初から両面に保護フィルムが貼られているので安心できます。
ちょっと画面が小さくて見にくいかも
小型というのはメリットであると同時にデメリットでもあります。
本製品のディスプレイは小型故に視認性に多少の問題があり、人によっては文字が小さくて見にくいと感じるかもしれません。
こればっかりはどうしようもないので、そこはしっかりと把握しておくべきでしょう。
こんな小さな画面の機種に、電子書籍リーダーの機能は無駄でしか無いと思いますね。省けるならここは省いたほうがコストカットになると思いますよメーカーさん。
PCM及びDSDハイレゾ音源に対応。勿論MP3などの圧縮音源も
DAPを名乗っているので当然のことですが、本製品はバッチリハイレゾ音源に対応しています。
一般的に広く普及しているFLACなどのPCM音源は勿論のこと、よりマニア向けなDSD音源も64、128、256までならネイティブ再生可能という中々に高いポテンシャルを秘めています。
Android OSのDAPですと、せっかくハイレゾ音源に対応していてもSRC回避に問題があって、設定によってはその高音質を最大限発揮できない事があるのですが、本機はDAP向けに開発された独自OSなので、そういった問題とも無縁になります。
また、当然ですがMP3などの圧縮音源もちゃんと再生することが可能です。
ストレージは自分でMicroSDカードを用意する必要あり
本製品には内蔵ストレージは無いので、MicroSDカード(TFカード)を別途用意する必要があります。
一般的な汎用品で問題はないので、Amazonなり楽天市場なりで購入しておきましょう。最大で512GBまで対応していますので、容量はそこまでを目処にお好みで。
UIはシンプルで使いやすい印象
独自OSを積んだDAPですと、問題となってくるのがユーザーインターフェースの使いやすさだと思います。実際長年使われて熟成されてきたAndroid OSには、そういった使いやすさの面で劣るのは仕方ないと思います。
本製品のOSですが、HyBy OS 3.0というDAP専用に作成されたものになっています。多分Linux系のものだと思います。
操作感はAndroidと比べると独特な面もあって、最初は慣れない点も多かったですが、シンプルかつそこそこサクサク動いてくれるので、すぐに扱えるようになるでしょう。
ただし、後述のように非常に多機能な製品なので、それを全部フル活用しようとすると、しっかり覚えないとだめですね。
音質は高解像度でそこそこパワフル
音質面は小さいと言ってもやはりDAPなので、スマホとは雲泥の差があります。DACチップにESS9218Pをデュアル搭載していることもあって、非常に高解像度で分離感のある良いサウンドを表現してくれています。26000円という低価格DAPとしては文句なしの高音質といえるでしょう。
イコライザもプリセット8種+カスタマイズできるものが用意されているし、さらにMSEBという音質調整機能までそなわっているので、自分好みの音を探すことが可能になっています。
また、駆動力に関しては小型ながらそこそこパワフルです。少なくとも、体感私の持っているイヤホンでかなり鳴らしにくいイヤホンである、final E4000でも過不足なく出力を確保できていたので、少なくともイヤホンを鳴らすという目的であれば、十分すぎる駆動力があるといって問題ないでしょう。
流石に高駆動力を必要とするヘッドホンやスピーカーは厳しいでしょうが、そういうのはこのポータブル向け製品につなぐのは酷だと思います。
DACとしても使用可能
この製品はDACとしても使用可能で、お手持ちのスマートフォンやパソコンに接続して、そちらのサウンドを高音質にして楽しむことが可能になります。それも有線だけでなく、無線接続でも可能です。
まず有線接続ですがスマホの場合なら付属のTypeC to TypeCのOTGケーブルを使いスマホと接続したのちAP80 PRO-Xの方を操作すればDACモードとしての運用が可能になります。
PCの場合もTypeCコネクタがあるのであれば同様の手順で、ないならUSBAコネクタに付属のTypeC to TypeAケーブルで接続すれば、DACとして使用可能になります。
更に、後述のように高音質コーデックによって、ハイレゾワイヤレスDACとしての運用も可能です。
Bluetoothは双方向でLDACなどの高音質コーデックに対応
Bluetoothコーデックの対応は以下のようになっています。
- SBC
- AAC
- Apt-X
- LDAC
- UAT
UATはHibyの独自コーデックなのであまり使う機会はなさそうですが、多くのワイヤレスオーディオ機器に搭載されているLDACやApt-Xにも対応しているので、ワイヤレス使用においても十分に高音質で音楽を楽しむことが可能になっています。
ただしワイヤレスDACとしてハイレゾ音源をスマホで楽しむのであれば、iPhoneでは無理です、iPhoneはSBCとAACコーデックしか対応していないため、ハイレゾ対応ではない為です。
逆に、Androidスマホであれば、多くの機種がLDACに対応しているため、ハイレゾ音源を楽しむことができるでしょう。
またPCでもワイヤレス接続は一応可能ではありますが、こちらはあまりおすすめしません。というのもWindows PCに関しては、Bluetoothでオーディオを接続する場合は汎用ドライバだとSBCでしか接続できないし、専用ドライバを入れてもApt-Xまでの対応でやはりハイレゾ再生はできない為です。
これはこの製品の問題ではなく、PC側の問題なのでどうにもなりません。
バッテリー持ち時間も良好
小型でそこそこパワフルで、こんなに多機能なのであれば電池持ちに心配があるかもしれません。しかし本製品は音楽を流しっぱなしにしても13時間は持つとなっており、実際に使った体感上でも十分電池持ちは良かったと感じました。
少なくとも満充電から出先で電池切れちゃったという状態にはならないでしょう。
付属品
付属品は替えの保護フィルム2枚に、TypeC OTGケーブル、TypeC to TypeAケーブル、ハイレゾシールが付属してきます。
多くはないですが必要十分な内容で、特にOTGケーブルはこれさえあればスマホに接続してDACとして使える良い付属品です。
まとめ
良い点
- 小型軽量なので非常にポータブル向き
- コンパクトなのにしっかりした作り
- 2.5mmバランス接続にも対応
- イヤホンには十分な駆動力
- LDACなどの高音質コーデックも双方向で対応
- DACモードあり
- 良好なバッテリー持ち
悪い点
- 指紋汚れと傷がつきやすい筐体(保護フィルムあるので実質指紋だけ)
- ミニ筐体ゆえ仕方ないが画面が小さめ
おすすめ度:★★★★☆
よくこんな小さな筐体に、ここまでの実用性と多機能を詰め込んだなという、技術の進歩を感じさせるハイレゾオーディオプレイヤーです。
普段遣いには文句なしに最適だし、今後ポタオデする際はこれを持ち歩こうかなと思ったくらいです。
ただ少々残念な点もあって、そこはやはり傷汚れの問題ですね。小型の廉価版DAPですし、保護フィルムも最初から貼られているので、気にせずガシガシ使っていけば良いのは事実ですが、保護フィルムがあっても指紋がベタベタになりやすいので、神経質な人は頻繁に拭かないといけないでしょう。
画面が小さいというのは小型なんだから仕方ない点でもあるので、ここはトレードオフでしょう。
総評としては、普段遣いに外で雑に使っていける、おすすめのDAPと言えるでしょう。
Hidizs AP80 PRO-X
小型軽量でポタオデに最適なデジタルハイレゾオーディオプレイヤー。2.5mmバランス接続&DSDネイティブ再生可能はコスパ良すぎ。